みなさんがよく知っているウーパールーパーの姿、あの姿は子どもの姿なのでしょうか?
それとも、大人の姿なのでしょうか?
「大人になるとどんな姿になるの?」「ずっと同じ姿のままなの?」といった疑問を持つ人も多いと思います。
ここでは、ウーパールーパーの基本的な特徴や成長の仕組み、子どもから大人へと変わる過程についてわかりやすく解説します。
知れば知るほど魅力的なウーパールーパーの世界を、一緒に覗いてみましょう。
ウーパールーパーってどんな生き物?

そもそもウーパールーパーとはどのような生き物なのか確認しておきましょう。
実は、普通の生き物にはないウーパールーパー独自の特徴を持っています。
ウーパールーパーの基本的な特徴を紹介
ウーパールーパーは、メキシコ原産の両生類で、正式には「アホロートル」と呼ばれています。
その最大の特徴は、子どもの姿のままで大人になる「ネオテニー(幼形成熟)」と呼ばれる特性です。
頭の両側から伸びた外鰓(エラ)が可愛らしく、その外見のおかげでとても人気があります。
また、種類によって体の色が異なり、白やピンク、黒などさまざまな個体が存在します。
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体長は15〜30cm程度まで成長し、寿命は10〜15年と比較的長寿。
水中でのんびりと生活する姿が魅力的で、日本では観賞用として飼育されることが一般的です。
ふさふさのエラや手足をバタバタさせて動き回る姿が可愛らしく「癒し系ペット」としても注目されています。
両生類なの?爬虫類なの?意外と知らない分類
ウーパールーパーは見た目から爬虫類に間違えられることもありますが、実際には「両生類」に分類されます。
サンショウウオの仲間であり、水中で生活する点がその大きな特徴です。
しかし、一般的な両生類とは違い、ほとんどのウーパールーパーは水中生活のまま成長し、陸上生活を送ることはほとんどありません。

また、ウーパールーパーのように水中生活を続ける両生類は珍しく、科学的にも注目されています。
この特性の背景は、外鰓を維持したまま成熟する「ネオテニー(幼形成熟)」によるもので、自然界の中でも特殊な進化を遂げた生物として知られています。
ウーパールーパーの特徴を正しく理解すると、その生態への興味がさらに深まるかもしれません。
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ウーパールーパーはどう成長するの?

ウーパールーパーは、両生類ですが子どもと大人の姿がほとんど変わらない生き物です。
カエルなどの一般的な両生類とは違い、成長過程に独特な特徴があります。
ここでは、ウーパールーパーの子ども時代の姿や生活、そして成長して大人になるまでの流れを詳しく解説します。
小さい頃(幼生)の姿と生活
ウーパールーパーは卵から孵化すると、すぐに水中での生活を始めます。
幼生の段階では、体長は1〜2cmほどととても小さく、透明感のある体が特徴です。

頭の両側には外鰓(エラ)が発達しており、このエラを使って水中の酸素を取り込みます。
また、まだ足が未発達なため、ヒレのような尾を使って泳ぎ回ります。
食事は主にプランクトンや微小な水生生物を捕食します。
体が大きくなると、徐々に足が発達し、動きがより活発になっていきます。
この時期のウーパールーパーは、成長のスピードが非常に早いのが特徴です。
大人の姿に変わるまでの成長の流れ
子どもから大人になるにつれて、ウーパールーパーの体にはいくつかの変化が見られます。
成長の過程で、手足や尾がさらに発達し、体長も15〜30cm程度になるでしょう。
また、食べるものも変化し、小さな昆虫やミミズ、冷凍赤虫などを食べるようになります。
一方で、ウーパールーパーの成長過程には特有のポイントがあります。
それは、「ネオテニー(幼形成熟)」という現象です。
ほとんどのウーパールーパーは、子どもの姿のまま成熟し、繁殖能力を持つことができます。
そのため、外鰓が残ったままの姿で水中生活を続けるのが一般的です。
ただし、特定の条件下では、本来の大人の姿に変化することもあります。
ホルモンの分泌量や環境の変化によって、外鰓が縮小し、肺呼吸が主体となることがあります。
こうした変化は稀ですが、ウーパールーパーが持つ進化の多様性を示していると言えるでしょう。
大人になったウーパールーパーの姿は?

ウーパールーパーはネオテニー(幼形成熟)という特性を持つため、一般的な両生類とは異なり、子どもの姿のまま成体化するのが一般的です。
ここでは、大人になったウーパールーパーの姿と、子どもの姿との違いについて詳しく解説します。
幼生のときとどこが違うの?
大人になったウーパールーパーは、子どもの頃に比べて体が大きくなり、体長が15〜30cm程度に達します。
また、体の色や模様がはっきりとし、外見的な特徴がより際立つようになります。
子どもの頃は全体的に透明感のある体をしていましたが、成長するにつれて色素が増え、ピンク、白、黒などの個体特有の色が濃くなるでしょう。
ただし、ネオテニー(幼形成熟)の特性を持つウーパールーパーは、外見的には子どもの姿と大きな変化がないことも多く、外鰓(エラ)が残ったままの姿で水中生活を送る場合がほとんどです。
鰓(エラ)が消える?肺で呼吸するようになるって本当?
一般的なウーパールーパーは、ネオテニー(幼形成熟)によって外鰓が残ったままの姿で一生を過ごします。
そのため、鰓呼吸を主体として水中生活を続ける個体がほとんどです。
しかし、特定の条件下ではふさふさの外鰓が消失し、肺呼吸を主体とする大人の姿に変化することがあるのです。

画像引用元:世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ
特定の条件下とは、環境要因やホルモンの影響によります。
たとえば、水位の低い環境に適応する必要がある場合や、ホルモン注射を用いる実験条件では、外鰓が縮小し、肺呼吸に移行することがあります。
ウーパールーパーは水中だけでなく陸上でも活動するようになり、その外見は一般的なサンショウウオに近くなります。
ただし、肺呼吸に適応した場合でも、完全に水中生活を放棄するわけではなく、肺呼吸と鰓呼吸を併用することが多いです。
成体化になることは稀なケースですが、ウーパールーパーが持つ適応能力の高さを示していますね。
ウーパールーパーが大人の姿に変わらない理由

ウーパールーパーは、一般的な両生類と違い、子どもの姿のまま成長して繁殖することができます。
この特性は「ネオテニー(幼形成熟)」と呼ばれるもので、自然界では非常に珍しいもの。
ここでは、ウーパールーパーがずっと子どもの姿のままでいる仕組みや、その理由について詳しく説明します。
また、自然界と飼育環境の違いが、成体化の可能性にどのように影響するのかも解説します。
ずっと幼生のままってどういうこと?
ウーパールーパーが幼生のまま成長する理由は、「ネオテニー(幼形成熟)」という独特な生態にあります。
ネオテニー(幼形成熟)とは、子どもの姿のまま成熟し、繁殖能力を持ちながらも大人の姿に変化しない現象を指します。
ウーパールーパーの場合、子どものときに見られる外鰓や水中生活を維持したまま、繁殖可能な状態になるということです。
ネオテニー(幼形成熟)には、甲状腺ホルモンが深く関係しています。
一般的な両生類は、甲状腺ホルモンの分泌によって幼生から成体へと変態します。
しかし、ウーパールーパーの場合、このホルモンの分泌量が低いため、変態を起こさず幼生の特徴を保つのです。
ウーパールーパーのネオテニー(幼形成熟)は、進化の過程で水中生活に適応した結果と考えられています。
ずっと子どもの姿でいることで、水中という安定した環境で生存率を高めることができるため、ウーパールーパーにとっては大きなメリットとなっています。
自然界と飼育環境で違うポイント
自然界と飼育環境では、ウーパールーパーの成体化に影響を与える要因が異なります。
自然界では、水温や水質、食料の量といった環境要因がウーパールーパーの成長に大きく影響します。
特に、水が乾燥しやすい環境や、酸素不足が起きる状況では、外鰓が消えて肺呼吸を主体とする成体化が促されることもあるでしょう。
一方、飼育環境では、水質や水温が安定しており、食べ物も十分に与えられるため、自然界よりも変態を必要とする状況が少なくなります。
そのため、ほとんどの飼育下のウーパールーパーは、子どもの姿のまま成長します。
しかし、特別なホルモン注射を使うことで、人工的に成体化させることも可能ですが、これはウーパールーパーにとってストレスとなるため興味本位で行うことは避けてください。
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ウーパールーパーを大人の姿に変える方法ってある?

ウーパールーパーは通常、子どもの姿を保ったまま成長しますが、特定の方法を用いることで成体化させることが可能です。
その一つが、ホルモンの活用です。
ここでは、ウーパールーパーを成体化させる方法と、それに伴う注意点について解説します。
ホルモンを使って成体化させる方法とは?
ウーパールーパーを成体化させる方法の1つに、甲状腺ホルモンを外部から投与する方法があります。
ウーパールーパーの場合、自然状態ではこのホルモンの分泌量が低いため、子どもの姿の状態を維持していますが、人工的にホルモンを与えることで、変態を促すことが可能です。
具体的には、飼育水にホルモン剤を溶かして投与する方法や、直接ホルモン注射を行う方法があります。
その結果、ウーパールーパーは外鰓が縮小し、肺呼吸が主体となり、最終的には陸上生活が可能な大人の姿に変化します。
その外見は一般的なサンショウウオに近い形状です。
ただし、ホルモンの種類や投与量を誤ると、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、専門的な知識が必要です。
成体化させるときに気をつけるべきこと
ウーパールーパーを成体化させる際には、いくつかの注意点があります。
まず、ホルモン投与はウーパールーパーにとって大きなストレスとなるため、慎重に考えて行ってください。
決して興味本位で行うのではなく、命を扱う重大さを意識して行う必要があります。
特に、ホルモンの量や投与頻度を適切に管理しないと、内臓や神経系に負担がかかり、命を縮める可能性があるので注意してください。
また、成体化したウーパールーパーは生活環境が大きく変化します。
水中生活をしていたときとは異なり、陸上生活が必要になるため、飼育環境を整える必要があります。
- 湿度の高い陸地
- 肺呼吸をサポートするための空気循環
- 成体に合わせた餌
などが必要になります。
この新しい環境に適応できるよう、しっかりとした準備をしてください。
まとめ:ウーパールーパーの大人の姿も今の姿と変わらない

ウーパールーパーは、ネオテニー(幼形成熟)という特性を持つ珍しい生き物です。
基本的にはサイズの違いはありますが、大人の姿も子どもの姿と変わることはありません。
一般的には子どもの姿のまま成長し、水中での生活を続けますが、特定の条件下やホルモンの影響で大人の姿に変わることもあります。
ウーパールーパーの生態を理解することで、その不思議な成長過程や適応力の奥深さに触れることができます。
興味を持ったら、ウーパールーパーについてたくさん調べてみましょう。