進学で寮に入ることになった。転勤が決まった。家族にアレルギーが出た。体調を崩して世話ができなくなった。
ウーパールーパーは10年以上生きる生き物です。 迎えたときには想像していなかったことが、その10年のあいだに起きます。飼えなくなること自体は、責められるようなことではありません。
この記事を開いた方は、たぶん今その状況にいて、どうすればいいか分からずに調べていると思います。
ひとつだけ先に言わせてください。黙って川に放す人は、こうやって検索しません。 いま調べているという事実が、いちばん大事なところだと思います。
この記事では、手放すことになった場合の選択肢を、動きやすい順に整理します。
その前に|本当に手放すしかないでしょうか
選択肢の話に入る前に、2つだけ確認させてください。手放さずに済むなら、それがいちばんいいからです。
① 引っ越し先に連れていけませんか
転勤や進学で環境が変わる場合、「連れていけない」と思い込んでいるケースが意外とあります。
水槽は分解して運べますし、ウパちゃん自身も飼育水ごと容器に入れれば移動できます。賃貸でも、水槽飼育を禁じている物件はそれほど多くありません(契約書の「ペット不可」が生体全般を指すかは、管理会社に確認する価値があります)。
運び方は引っ越しのときの手順にまとめました。読んでみて「これならいける」と思えたら、その方がウパちゃんにとっても負担が少ないです。
② 一時的に預けるだけで済みませんか
入院や長期出張のように、期限が見えている事情であれば、預かってもらうという手があります。
- 飼育経験のある知人に頼む
- 購入したショップに有料での預かりを相談する
- 実家に一時的に置かせてもらう
手放すのは、この2つを検討したあとでも遅くありません。
逆算のスケジュール
期限が決まっている方のために、目安を書いておきます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1ヶ月前〜 | ショップに相談。並行して里親募集を出す |
| 2〜3週間前 | 引き取り手と連絡、飼育環境を確認 |
| 1週間前 | 引き渡し日と方法を決める。水槽ごと譲るか決める |
| 2〜3日前 | 餌を止める |
| 当日 | 飼育情報をまとめて、対面で引き渡す |
探しはじめるのは早いほどいいです。 1ヶ月あれば、たいていは見つかります。
選択肢①|買ったお店・専門店に相談する
いちばん現実的で、いちばん早い方法です。
まず、購入したお店に電話してみてください。 とくに爬虫類・両生類の専門店であれば、引き取りに応じてくれることがあります。無償のこともあれば、状態によっては買い取ってもらえることもあります。
購入したお店が分からない、もう閉店している、という場合は、近くのアクアリウムショップや爬虫類ショップに順に聞いてみるといいと思います。ウーパールーパーを扱っている店なら話が早いです。
電話で伝えるのは次の3つです。
- ウーパールーパー(アホロートル)であること
- 何cmくらいか、何年飼っているか
- 健康状態(食べているか、エラの状態など)
「引き取ってもらえませんか」より「相談させてください」と切り出すほうが、話が進みやすいように思います。引き取りは無理でも、里親を探している人を知っていることがあります。

選択肢②|里親を探す
ショップで見つからなければ、里親を探します。
里親募集サイト
「ペットのおうち」など、両生類や小動物のカテゴリを持つ里親サイトがあります。実際にウーパールーパーの募集も出ています。
写真と飼育情報を載せて募集する形です。いまの飼育環境(水槽サイズ、水温をどう管理しているか)まで書いておくと、引き受けられる相手かどうかが向こうにも判断できます。
SNS
アクアリウム関係のコミュニティは活発なので、飼育者同士のつながりから見つかることもあります。
ただし、相手が本当に飼える環境を持っているかは、自分で確かめる必要があります。「かわいいから欲しい」だけの相手に渡すと、同じことが繰り返されてしまいます。
確認しておきたいのは、この3点です。
- 夏の水温管理ができるか(エアコンや冷却設備があるか)
- 水槽とフィルターを持っているか、用意できるか
- 10年以上飼う前提を理解しているか
あわせて、相手の飼育環境の写真を見せてもらうとかなり分かります。すでに水槽を持っている方なら、ほぼ心配ありません。
やりとりの記録(メッセージのやりとり、連絡先)は、引き渡しが終わるまで残しておくと安心です。

選択肢③|知人・学校
身近なところにも可能性はあります。
飼育経験のある知人がいちばん安心です。水槽を持っている方なら、設備の心配もありません。
学校に相談する方法もありますが、長期休暇中の管理が問題になります。「持っていけば受け取ってもらえる」とは考えず、必ず先生に確認してから話を進めてください。
水族館や動物園への引き取り依頼は、基本的に難しいと考えたほうがいいです。展示動物の管理は厳格で、外部から個体を受け入れることはほとんどありません。
譲るときにやっておくこと
引き取り手が見つかったら、次の準備をしておくと、その子のその後がかなり変わります。
① 飼育情報をまとめて渡す
紙でもメモアプリでも構いません。
- いつから飼っているか、いまの大きさ
- 与えていた餌の種類と頻度
- 水温は何℃で管理していたか
- 病気をしたことがあるか、そのとき何をしたか
- 性格(臆病・よく食べる・隠れがち、など)
とくに餌は大事です。 ウパちゃんは餌が急に変わると食べなくなることがあるので、いま使っている餌を残っている分だけ一緒に渡してあげると助かります。
② ろ材を飼育水に浸けたまま渡す
これがいちばん効きます。水質を保っているバクテリアは、そのほとんどがろ材と砂利の表面に定着しています。 水中を漂っている量はごくわずかです。
つまり、ポリタンクで水を運ぶより、ろ材をそのまま渡すほうがずっと価値があります。 乾かさないように、飼育水に浸けた状態で(容器の中に空気の層を残して)渡してください。
底砂を使っている場合は、砂利も飼育水で湿らせたまま渡せると理想的です。飼育水そのものも、あれば足しになります。
③ できれば水槽ごと譲る
相手の負担が一気に減りますし、環境が変わらないぶんウパちゃんの負担も減ります。
新しく一式そろえると1〜2万円かかるので、水槽ごと譲れるなら引き取り手も見つかりやすくなります。
④ お金のやりとりは、しないほうが無難です
生体そのものを有償で譲ると、相手との関係がこじれたときに面倒になりますし、転売目的の相手を引き寄せることもあります。
生体は無償で、水槽や設備の実費だけ受け取るという形にしておくと、お互いに気持ちよく終われます。
引き渡しの当日
大前提として、生体は宅配便では送れません。 対面での手渡しが原則です。遠方の相手が見つかった場合は、どちらかが移動するか、中間地点で会う形になります。ここを見落とすと、直前で予定が崩れます。
餌は2〜3日前から止めておきます。 移動中にフンをすると、狭い容器で水がすぐ汚れるためです。
運ぶときは、飼育水ごとフタつきの容器に入れます。網ですくうと、エラや指が引っかかることがあります。
容器は発泡スチロールの箱に入れると、水温が安定します。夏の車内はとくに危険なので、移動が長い場合は保冷剤をタオルで包んで箱の中に(水の中には入れないでください)。

引き渡したあと、「水合わせをしてから水槽に入れてください」と一言添えてもらえると安心です。 ここを知らずにいきなり放してしまう方が、意外と多いので。
見つからないとき、期限が迫っているとき
数週間探しても引き取り手がない、ということもあると思います。
まず、探す範囲を広げてみてください。 地元のショップだけでなく、少し離れた地域の専門店にも連絡する。SNSで拡散をお願いする。里親サイトを複数使う。
そして、退去日や転勤日が決まっている場合は、早めに「有料の一時預かり」を探してください。 ショップによっては期間を決めて預かってくれます。費用はかかりますが、期限に追われて相手を選べなくなるより、ずっといい選択です。
預けているあいだも里親探しは続けられます。急いで渡した先で世話をされなくなるより、時間を買うほうが結果的にうまくいきます。
その間の世話が難しい場合でも、水温を保つことと、週1回の水換えだけは続けてもらえると助かります。餌は数日おきでも大丈夫です。ウパちゃんは意外と丈夫です。
知っておいてほしいこと|法律はあなたを止めません
ここまで読んで、「もし見つからなかったら」と考えている方のために、正確なことを書いておきます。
ウーパールーパーを捨てても、国の法律で罰せられることは考えにくいです。
動物愛護法が守る「愛護動物」は、人が飼っている哺乳類・鳥類・爬虫類と、牛や馬など特定の動物に限られます。両生類であるウーパールーパーは含まれていません。 遺棄罪の対象外です。
ウーパールーパーは特定外来生物にも指定されていないので、外来生物法にも触れません。
「遺棄は動物愛護法違反です」と書かれているのを見かけますが、ウーパールーパーについては、これは正確ではありません。
(ただし、水産動物の放流について都道府県ごとに規則があったり、自治体の条例が関わったりする場合はあります。国の遺棄罪では問われにくい、という話だと考えてください。)
わざわざこれを書くのは、法律があなたを止めてくれないからです。 止められるのは飼い主の判断だけなので、次のことを知ったうえで決めてほしいと思っています。

川や池に逃がすと、何が起きるか
① ほとんどの個体は、その年の夏を越せません
ウーパールーパーの適温は15〜20℃です。日本の川や池は夏に25℃を軽く超えます。飼育下で育った個体は捕食者も知りません。
「自然に還す」という言葉から想像するような結末には、まずなりません。
② 生き残った個体は、在来の生き物と競合します
ただし、湧水のある場所など水温の低い環境では、生き残る可能性があります。 実際、外来の有尾類が国内で定着した例は報告されています。
ウーパールーパーはメキシコサンショウウオという有尾類です。日本の在来サンショウウオの多くはすでに数を減らしていて、そこに競合相手が加わることになります。
③ 病気を持ち込む可能性があります
両生類には、ツボカビ症という世界的に問題になっている感染症があります。飼育されていた個体が、見た目は健康でも病原体を持っていることがあります。
在来のサンショウウオやカエルに広がると、取り返しがつきません。1匹だから大丈夫、という性質のものではないんです。
そしてもうひとつ。ウーパールーパー自身が、野生ではほぼ絶滅した生き物です。 生息地のソチミルコ湖には、もうごくわずかしか残っていません。
生息地を失った生き物を、今度は別の生き物の生息地に放すことになる。そう考えると、やはり避けたい選択だと思います。
よくある質問
- 罰則がないなら、なぜダメなのでしょうか?
-
罰則がないことと、やっていいことは別だからです。放された個体の多くは日本の夏を越せずに死にますし、その過程で在来の両生類に病原体を広げる可能性があります。法律が追いついていないぶん、飼い主が判断するしかない、というのが実際のところだと思います。
- 繁殖してしまって、数が増えすぎました。どうすればいいですか?
-
ウーパールーパーは一度に数百個の卵を産むので、これは実際によく起こります。まず、これ以上増やさないためにオスとメスを分けてください。すでに孵化した個体は、専門店に相談すると引き取ってもらえることがあります。稚ウパのうちは共食いが起きやすいので、分けて育てながら早めに動くのが安全です。
- 次にまた飼いたくなったら、飼ってもいいのでしょうか?
-
構わないと思います。今回のことで、10年という時間の重さは十分に分かったはずです。次に迎えるときは、進学や転勤の予定も含めて考えられます。手放した経験のある方のほうが、むしろ慎重に飼えると思います。
まとめ
- まず「連れていけないか」「一時的に預けられないか」を検討してみてください
- 探しはじめるのは早いほど楽です。1ヶ月あれば、たいていは見つかります
- 最初に相談するのは買ったお店・近くの専門店。いちばん早いです
- 里親を探すときは、夏の水温管理ができるかが最大の確認ポイント
- 譲るときはろ材を飼育水に浸けたまま渡すのがいちばん効きます(バクテリアはろ材と砂利にいます)
- 生体は宅配便で送れません。 対面での手渡しが原則です
- 期限が迫っているなら、有料の一時預かりで時間を買うほうが安全です
- ウーパールーパーは両生類なので、国の遺棄罪では問われにくいのが実情です。だからこそ判断は飼い主に委ねられています
- 川や池に逃がすのは避けてください。 多くは夏を越せず、生き残れば在来種と競合します
飼えなくなること自体は、誰にでも起こりえます。大事なのは、そのときにどうするかだと思います。ここまで読んでくださったのなら、きっと良い行き先を見つけられます。
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