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1匹飼ってしばらく経つと、ふと思うんですよね。「もう1匹いたら、もっと楽しいんじゃないか」と。
わたしもそうでした。水槽に余裕があるように見えて、別のカラーも欲しくなって、気づいたらショップの前に立っていました。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。
買ってきたその日に、同じ水槽へ入れないでください。
理由は共食いだけではありません。もっと起きやすく、しかも気づきにくい問題があります。この記事では、2匹目を迎えるときの準備3つと、合流してからの2週間を順番に整理します。
なお、そもそも多頭飼いができるかどうか、共食いをどう防ぐかは多頭飼いの記事にまとめています。この記事は「すでに1匹いる水槽に、あとから追加する」場合の手順です。
先に、見送ったほうがいいケース
買いに行く前に、ここだけ確認してください。当てはまるなら、いま増やすのはおすすめしません。
- 体格差が大きい(相手の頭が自分の口に入りそうなサイズ差は危険です)
- 水槽を広げられない
- 隔離用の容器を置く場所がない(後で説明しますが、これがないと始められません)
- 先住の子が体調を崩している
- 留守が多い(2匹になると、見るべき量も倍になります)
とくにひとつ目です。14cmの子がいるなら、同じくらいの大きさの子を選んでください。小さい個体を足すと、先住が悪気なく口に入れてしまいます。
1匹でも十分に楽しい生き物です。無理に増やす必要はありません。
やること①|水槽が足りているか確認する
まずここです。2匹目を買う前に済ませてください。
ウパちゃんは群れで暮らす生き物ではありません。水槽の中に「それぞれが落ち着ける定位置」がないと、常に相手が視界に入る状態になります。
これは縄張り争いという話ではありません。ウパちゃんの共食いに悪意はなく、動くものに反射的に反応してしまうだけです。だからこそ、距離が取れる環境をつくることが対策になります。
確認するのは2つ。
- 水量は足りているか(1匹用のサイズのままなら、まず広げる)
- 隠れ家は頭数ぶんあるか(取り合いになると、弱いほうが落ち着けません)
隠れ家は、匹数より1つ多く入れてください。2匹なら3つです。数が同じだと、追い出されたほうに行き場がなくなります。形の違うものを混ぜると、好みが分かれて落ち着きやすくなります。
土管は中が見えないので、ウパちゃんが安心できます。
選ぶときは入り口の内径を見てください。体がつかえると入れません。15cm前後の成体なら、内径6cm以上が目安です。体の最大幅より広いものを選んでください。
水槽サイズの目安は多頭飼いの記事に書いています。ここが足りていないなら、2匹目を迎えるのはもう少し先でいいと思います。
見落とされがちなのは「ろ過が2匹分に耐えるか」
水量と隠れ家の次に確認してほしいのが、ここです。
生体が2匹になれば、フンも食べ残しも倍になります。 つまりアンモニアの発生量も倍です。いまのフィルターが1匹ぶんでちょうどよかったなら、2匹では追いつきません。
バクテリアが増えて追いつくまでには時間がかかります。そしてアンモニアは目に見えず、匂いもしません。 「2匹にしてから、なんとなく調子が悪い」の正体がこれであることは少なくありません。
ここで、次に説明する隔離期間が効いてきます。
2〜4週間の隔離期間は、本水槽のろ過を育てる準備期間にもなります。 その間に、フィルターのろ材を少し足しておいてください。バクテリアの住む場所が増えるので、合流したときの負荷に耐えやすくなります。
ろ材の扱い方はフィルター掃除の記事に書きました。足すときは一度に全部替えず、古いろ材を残したまま追加するのがコツです。
合流してから2週間は、水換えを週2回に増やしておくと安心です。
やること②|2〜4週間、別の容器で様子を見る
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
新しく迎えた個体を、いきなり先住のいる水槽に入れないでください。 まず別の容器で、しばらく様子を見ます。
アクアリウムでは「トリートメント」と呼ばれる手順です。ウパちゃんの飼育では、あまり語られません。
なぜ必要なのか
新しい個体が、病気を持ち込むことがあるからです。
店の水槽では複数の個体が同じ水を共有しています。そこで水カビや細菌をもらっていても、買った時点では見た目に出ていないことがあります。
しかも、お迎えは輸送と環境変化のストレスがかかるタイミングです。今まで抑え込めていたものが、家に来てから発症する。 これがよくあるパターンです。
そのまま同じ水槽に入れていたら、先住の子まで巻き込むことになります。
やり方
難しくありません。必要なのは、別の容器と、少しの手間だけです。
- フタつきのプラケースや、小さめの水槽を用意する
- 水合わせをしてから新しい子を入れる
- 2〜4週間、そのまま様子を見る
- 毎日、水の半分を換える(ろ過がないので、ここでまかないます)
- エアレーションを弱めに入れておく(水面が軽く動く程度で十分です)
容器は特別なものでなくて構いません。深めのプラケースに、穴を開けたフタをかぶせて固定すれば十分です。飛び出しを防ぎつつ、空気が入れ替わります。
水換えの量について補足します。本水槽なら1/3が目安ですが、ろ過のない小さな容器では半分を目安にしてください。フンや食べ残しが出た日は、もう少し多めでも構いません。
水温も合わせておいてください。あとで合流させるときの差が小さくなります。
といっても難しいことはなく、本水槽と同じ部屋に置けば、だいたい揃います。 窓際やエアコンの風が当たる場所だけ避けてください。
小さな容器は水温が動きやすいので、夏は注意が必要です。23℃を超えるようなら、合流を急ぐより先に水温を下げてください。 保冷剤を外側に当てるか、部屋の冷房を使います。
同じ水温に保てているかを確かめるには、両方に水温計が要ります。最高最低を記録できるタイプなら、夜間に下がりすぎていないかも分かります。

器具を使い回さないでください
これを忘れると、隔離した意味がなくなります。
網、ピンセット、スポイト、水換えのホース。これらを本水槽と共用すると、そこから病原体が移ります。
やることは2つだけです。
- 新しい子用に、網とスポイトを別に用意する(安いもので構いません)
- 両方の世話をする日は、先住 → 新しい子の順にして、間に手を洗う
順番が大事です。新しい子を触った手で先住の水槽に入れるのが、いちばん避けたいパターンです。
何を見るか
毎日見るのは、この5つです。
- 体に白いもやもや、綿のようなものがついていないか
- エラが縮んでいないか、色が薄くなっていないか
- 皮膚にただれや充血がないか
- 餌を食べているか
- フンが出ているか
2〜4週間、何も出なければ合格です。何か出たら、治ってからにしてください。
予防のための塩浴はしなくて大丈夫です
熱帯魚の世界では、トリートメント中に予防的な塩浴をすることがあります。ただ、ウパちゃんには勧めません。
健康な個体に塩浴をかけるのは、それ自体が負担になります。塩浴は症状が出てからで十分です。やり方は塩浴の記事にまとめました。

やること③|合流の日は、レイアウトを変える
2〜4週間が過ぎて、新しい子に異常がなければ合流です。
ここでひと工夫あります。新しい子を入れる前に、水槽のレイアウトを変えてください。
先住の子は、その水槽で何ヶ月も過ごしています。どこが自分の落ち着ける場所か、だいたい決まっているはずです。
隠れ家の位置を動かし、新しいものを足す。それだけでどちらにとっても「初めての配置」になり、先住が一方的に有利な状況を減らせます。
当日の流れはこうです。
- 水槽のレイアウトを組み替える(隠れ家の位置を変える、1つ足す)
- 合わせる前に、それぞれ別々の場所で満腹まで食べさせておく
- 新しい子を水合わせする(手順は後述します)
- ウパちゃんだけをすくって移す
- 照明は消して、その日は静かにしておく
- 水槽に餌を入れるのは翌日から
2番を飛ばさないでください。 共食いは悪意で起きるのではなく、動くものに反射的に口を出してしまう行動です。そして空腹なほど、その反応は強くなります。
つまりお腹が満たされた状態で合わせるのが、いちばん安全ということです。この仕組みは多頭飼いの記事に詳しく書きました。
逆に「初日は餌を控えよう」と考えるのは危険です。空腹の2匹を初対面させることになります。
水槽に餌を撒くのを翌日からにするのは、取り合いを避けるためです。満腹にしておけば、その日は食べなくても問題ありません。
水合わせのやり方
2〜4週間を無ろ過の容器で過ごしたあとなので、水質の差はお迎えのときより大きくなっています。 丁寧にやってください。
手順はお迎え初日の記事に書いたものと同じです。容器ごと水槽に浮かべて水温を合わせ、容器の水を1/3捨てて水槽の水を足す、を10分おきに2〜3回。全体で1時間ほどみてください。
合流後の2週間は、毎日見てください
入れて終わりではありません。むしろここからです。
見るポイント
- どちらかが隠れたまま出てこない(ストレスを受けているサイン)
- エラや指に傷がないか(かじられた跡は小さくても要注意)
- 餌をどちらも食べているか(片方だけ食べていないことがあります)
とくに3つ目です。餌の取り合いは、見ていないと気づきません。 水槽に撒くだけだと、動きの速いほうばかりが食べます。
合流してしばらくは、ピンセットで1匹ずつ与えるのが確実です。手間はかかりますが、どちらがどれだけ食べたかが分かります。
傷を見つけたら
小さな傷でも、すぐに分けてください。水カビがつきやすくなりますし、一度かじる味を覚えると繰り返します。
分け方は、水槽を2つにするか、仕切り板を使う方法があります。詳しくは多頭飼いの記事に書きました。

個体を見分けられるようにしておく
地味ですが、やっておくと後で助かります。
同じカラーの2匹だと、どちらがどちらか分からなくなります。 「今日は食べたっけ」「この傷は前からあったっけ」が判断できません。
見分ける手がかりになるのは、次のようなところです。
- エラの房の長さや、枝分かれの密度の違い
- 指の欠けや、再生した跡
- 体の模様(マーブルなら特に分かりやすいです)
- 大きさの差
お迎えした日に、それぞれを真上と横から撮っておいてください。 あとで見返すと違いが分かります。わたしは同じ色の子を2匹迎えたとき、これをやっておかなかったので、しばらく混乱しました。
よくある質問
- トリートメントの容器にもフィルターは必要ですか?
-
なくても大丈夫です。ただしろ過がないぶん、毎日半分ほどの水換えで補ってください。容器が小さいほど水は汚れやすいので、食べ残しとフンはその日のうちに取り除いてください。エアレーションは、水面が動く程度に弱く入れておくと安心です。2〜4週間のことなので、簡易的な環境で構いません。
- 先住の子と新しい子、どちらを隔離すればいいですか?
-
新しく迎えた子のほうです。先住の子はいまの水槽で安定しているので、動かすとそれ自体がストレスになります。新しい子は環境が変わったばかりなので、どのみち落ち着く時間が必要です。隔離は「閉じ込める」のではなく「慣らす時間をとる」ことだと考えてください。
- 2匹になったら、水換えの頻度は変わりますか?
-
増やす必要があります。ウパちゃんは体の大きさのわりにフンが多いので、2匹になれば汚れる速さも上がります。週1回だったなら、週2回を目安にしてみてください。フィルターの負担も増えるので、ウールマットの詰まり具合もこまめに確認してください。目安はフィルター掃除の記事にまとめています。
まとめ
- 買ってきたその日に同じ水槽へ入れない。 これがいちばん大事です
- まず水量と隠れ家を確認する。隠れ家は匹数より多く
- 新しい子は2〜4週間、別の容器で様子を見る(病気の持ち込みを防ぐため)
- 見るのは白いもやもや・エラ・皮膚・食欲・フンの5つ
- 健康な個体への予防的な塩浴は不要です
- 合流の日はレイアウトを変えて、照明を消し、餌は翌日から
- 合流後の2週間は、餌をどちらも食べているかを毎日確認する
- お迎えの日に写真を撮って、見分けられるようにしておく

手間に見えるかもしれませんが、隔離に2〜4週間、合流後の観察に2週間。期間としてはそれだけです。
ここを飛ばして2匹とも体調を崩すより、ずっと楽だと思います。
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