震度4でも、水槽の水はこぼれます。60cm水槽は水を入れると60kg以上あるので、倒れればガラスが割れ、集合住宅なら階下まで被害が及びます。
とはいえ、やることは多くありません。今週末のうちに終わるものと、一日かけて取り組むものに分けて説明します。揺れた直後の確認の順番、避難が必要になったときウパちゃんをどうするかもまとめました。
なお、水槽の地震対策について公的な指針のようなものは見当たりませんでした。ここに書くのは、アクアリウムの飼育者や販売店が経験から勧めている内容と、ウパちゃんの飼育で特に気をつけたい点です。
今週末にできること
水槽を動かさずにできるのは、この4つです。
① 置き場所を見直す
まず、倒れてきて水槽を直撃するものが近くにないか見てください。背の高い棚、本棚、額縁。この手のものが隣にあると、水槽本体が無事でも上から壊されます。
もうひとつ大事なのが、倒れたときに避難経路を塞がないかです。玄関や廊下への動線上に置いていると、割れたガラスと水で出られなくなります。
窓際も避けたいところです。ガラスが割れた場合に重なりますし、そもそも水温が安定しません。

② 水位を少し下げて、フタをする
満水に近い状態だと、揺れたときに水が大量に溢れます。普段から上端まで入れず、数センチ余裕を持たせておくだけで、こぼれる量が変わります。
フタも重要です。水の飛び出しを抑えるだけでなく、ウパちゃん自身が飛び出すのを防げます。驚いて暴れた拍子に外へ出てしまうと、乾燥で短時間のうちに危険な状態になります。水から出たウパちゃんがどうなるかは水から出すとどうなる?何分まで平気?にまとめました。
③ 避難用のバケツを用意しておく
ここが抜けやすいところです。水槽が割れたら、ウパちゃんを入れる場所がその場で必要になります。
フタつきのバケツかプラケースを、ひとつ空けて置いておいてください。普段は水換え用と兼用で構いません。大事なのは「すぐ取り出せる場所にある」ことです。
中に入れる水は、カルキを抜いて常備しておく必要はありません。割れた水槽に残っている飼育水をすくって入れるのがいちばん安全です。水温も水質も、ウパちゃんが慣れたものがそのまま使えます。夏なら保冷剤も一緒に用意しておくと安心です。
移すときの扱い方は素手で触っていい?リスクと正しい触り方を参考にしてください。緊急時でも、手で直接つかむのは避けたいところです。
④ 重いレイアウトを見直す
ここはウパちゃん特有の話です。
隠れ家として、素焼きの土管やシェルターを入れている方は多いと思います。あれは安定していて丈夫なぶん、重さもあります。揺れで倒れたとき、その下にウパちゃんがいたら逃げられません。

さらに怖いのが、割れた場合です。素焼きが砕けると鋭い破片が水中に残ります。ウパちゃんの皮膚も外鰓もやわらかいので、泳いだだけで傷つきます。
見直すポイントは3つです。
- 背が高くて不安定なものは、低くて底の広いものに変える
- 底が丸いものは転がりやすいので避ける
- 重ねて積んだレイアウトは、崩れることを前提に考える
隠れ家の選び方そのものは隠れ家おすすめ|土管・シェルター・水草の選び方で解説しています。接着して固定する方法もありますが、それで絶対に崩れなくなるわけではありません。
一日かけてやること
ここから先は、水槽を一度空にする作業になります。思い立ってすぐできるものではないので、休みの日を充てる前提で考えてください。
手順は引っ越しとほぼ同じです。ウパちゃんを飼育水ごとバケツに退避させ、ろ材と砂利を飼育水に浸けたまま確保し、水を抜いてから台を入れ替え、戻してから水合わせをします。細かい段取りは引っ越し|水槽の運び方と当日にやることをそのまま使えます。
⑤ 専用の水槽台に替える
これがいちばん効きます。カラーボックスやメタルラック、普通の机の上に60cm水槽を置いている方は、ここだけでも変えてください。
60kgを超える重さを長期間支えられる前提で作られているのは、アクアリウム用の水槽台だけです。カラーボックスは天板がたわみますし、メタルラックは揺れに弱く、そもそも面で支えていません。平らでない台の上に水槽を置くと、ガラスの一部に力が集中してヒビの原因にもなります。
水槽のサイズと重量の関係は水槽は何リットル必要?にあります。
⑥ 耐震マットを敷いて、台を固定する
水槽に付属してくる薄いマットは、ガラスを保護するためのもので、滑り止めとしては物足りません。耐震用のマットを別に敷いておくと、揺れたときにズレにくくなります。
台そのものの固定は、次の順で検討してください。
- 台を壁にぴったり寄せて、動く隙間をなくす(いちばん手軽です)
- 耐震ジェルを台の脚の下に貼る
- 転倒防止ベルトで壁と台をつなぐ
- 壁に穴を開けられるなら、L字金具で留める
ただし、どれも「絶対に倒れない」ものではありません。大きな揺れでは、耐震マットを敷いていてもズレることがあります。それでも、何もしないよりは被害がはるかに小さくなります。
揺れた直後にやること
順番が大事です。慌てて水槽に駆け寄らないでください。
1. 自分の安全を確保して、靴を履く
揺れている最中に水槽を押さえようとするのは危険です。割れたガラスで手を切りますし、60kgの水槽を人力で支えることはできません。収まるまで待ってください。
収まったら、水槽に近づく前に靴底の厚い靴を履いてください。割れたガラスの破片は、床にこぼれた水に隠れて見えません。 スリッパや素足で踏むと確実に怪我をします。
2. 足元と電源を確認する
床が濡れているなら、まず電源です。濡れた床に立ったまま水槽まわりのコンセントに触れると、感電のおそれがあります。
分電盤が別の部屋にあって、そこへ行くのに濡れた床を渡ることになる場合は、無理をしないでください。ブレーカーまで安全に行けないなら、水槽まわりには近づかずに待つのが正解です。ウパちゃんは水の中にいるかぎり、数時間で死ぬことはありません。

ブレーカーを戻すのは、床と機器が乾いてからにしてください。水をかぶったフィルターやヒーターは、そのまま通電させず、一度コンセントを抜いた状態で乾かします。
3. ウパちゃんの姿を確認する
水槽の中を見て、まず居場所を確かめます。レイアウトが崩れている場合は、その下にいないかを見てください。隠れ家が倒れて挟まっていることがあります。
姿が見えないときは、水槽の外も探してください。飛び出している可能性があります。
4. 水槽が傾いていないか見る
台ごとズレて、水槽が斜めになっていることがあります。わずかな傾きでも、ガラスの一部に力が偏ってかかり、あとからヒビや接合部の劣化につながります。
水面を見れば一目で分かります。水面と水槽の縁が平行でなければ傾いています。
直すには水を抜いてウパちゃんを退避させることになるので、揺れた直後に慌ててやる作業ではありません。傾きが小さければ写真を撮っておいて、落ち着いてから「一日かけてやること」の手順で直してください。明らかに台ごとズレている、脚が浮いているという場合だけ、その日のうちに水を減らして負荷を下げます。
5. 水漏れを確認する
水槽の下、台の脚元、床。少しずつ漏れている場合は、すぐには気づきません。水槽のヒビやシリコンの状態もあわせて見ます。
水漏れを見つけたときの手順、とくに集合住宅での対応は水槽トラブル|水漏れとフィルター故障の対処で扱っています。階下への漏水は賠償の話になるので、早い連絡が肝心です。
6. 停電していたら
電気が止まっていると、フィルターもヒーターも冷却機器も同時に止まります。夏は数時間が勝負になります。対処は停電対策|夏は数時間が命取りになりますを見てください。
復旧したときの通電火災にも注意が必要です。家を離れるならブレーカーを落としてから出てください。
揺れたあと、水が濁ったら
大きく揺れると、底砂に溜まっていた汚れや、フィルター内の沈殿物が舞い上がります。地震の直後に水が白く濁ったり、茶色っぽくなったりするのはこのためです。
ここで慌てて全部の水を換えないでください。バクテリアはろ材と砂利に定着しているので、水を入れ替えること自体がろ過を壊すわけではありませんが、大量に換えると水温も水質も一度に動きます。揺れで消耗しているウパちゃんには、そのほうが負担になります。
まずは1日様子を見てください。フィルターが動いていれば、濁りは自然に収まることがほとんどです。収まらない場合や、臭いが出てきた場合は、1/3ほどの水換えから始めます。
あわせて、底砂が片側に寄っていないかを見てください。砂が厚く溜まった場所ができると、ウパちゃんが餌と一緒に吸い込みやすくなります。誤飲の対処は砂利・石を飲み込んだ!誤飲の対処法と腸閉塞の見分け方にあります。
断水していて水換えができないときは、無理に換えなくて構いません。餌を止めれば、汚れる速度はかなり落ちます。復旧を待てる状態です。
避難が必要になったとき
結論から書くと、ウパちゃんを連れて避難するのは、ほとんどの場合むずかしいです。避難所はペットの受け入れ自体が限られていますし、受け入れがある場合でも想定されているのは主に犬や猫です。
そのうえで知っておいてほしいのは、置いていく判断で見るのは日数ではなく季節だということです。
餌については、1週間ほど食べなくても問題ありません。フィルターが止まっても、水量があればすぐに水質が悪化することもありません。ここは心配しなくて大丈夫です。
冬なら、ほとんど心配いりません。 ウパちゃんは低水温に強いので、暖房が止まっても平気です。むしろ涼しいほうが体力を使いません。熱帯魚とは逆だと考えてください。
危険なのは夏です。 閉め切った部屋に置いていくと、数時間で危険な水温まで上がります。水温が上がったときに何が起きるかは水温が上がりすぎた!段階別リスクと緊急対処法にまとめました。
数日で戻れる見込みなら、出る前に次のことをしてください。
- 餌はあげない(水を汚すだけになります)
- カーテンを閉めて、直射日光が当たらないようにする
- ブレーカーを落としていく(通電火災を防ぐためです)
- 電源を切る以上、夏は冷却が止まります。その時間を稼ぐために、水槽の周りに保冷剤を置けるだけ置いてください
もし余裕があって、どうしても連れて行くなら、発泡スチロールの箱に飼育水を入れて移すのが現実的です。断熱が効くので水温が変わりにくく、フタもできます。
ただし、これは自分と家族の安全が確保できたうえでの話です。危険な状況で水槽の世話をしようとしないでください。 ウパちゃんは思っているより丈夫です。
地震のあとに点検すること
揺れが収まって、すぐに異常がなくても、あとから出てくるものがあります。
水槽側で見るところ。
- ガラスに細かいヒビが入っていないか
- 角のシリコンが剥がれたり、白く浮いたりしていないか
- 水位が昨日より下がっていないか(少しずつ漏れているサイン)
- 耐震マットがズレたままになっていないか
- フィルターのホースや配線が引っ張られていないか
- 水槽台の脚がガタついていないか
- 割れた素焼きやガラスの破片が水中に残っていないか
ウパちゃん側で見るところ。
- 外鰓が片側だけ縮んでいないか、傷がないか
- 皮膚に切り傷やすり傷がないか
- 餌を食べるか、泳ぎ方がいつもどおりか
水位の変化は、気づきにくいわりに確実な手がかりです。水槽の外側にマスキングテープで印をつけておくと、翌日以降の比較が簡単になります。

よくある質問
- 少しこぼれただけですが、下の階は大丈夫でしょうか。
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床にこぼれた程度で、すぐに拭き取れたのであれば、階下まで抜けることはそれほど多くありません。天井にシミが出るのは、かなりの量が長時間溜まった場合です。ただしフローリングの継ぎ目やサッシ際から入ると見えないところを伝うので、水が残らないように拭いてください。心配なら、早めに管理会社へ一報を入れておくと話がこじれません。
- 賃貸なので壁に穴を開けられません。
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台を壁にぴったり寄せて隙間をなくすだけでも効果があります。そのうえで耐震ジェルや転倒防止ベルトを使ってください。賃貸で飼うときの注意点は賃貸・一人暮らしでもウーパールーパーは飼える?にあります。
- 地震のあと、ウパちゃんが落ち着きません。
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揺れと音は強いストレスになります。数日は照明を控えめにして、そっとしておいてください。餌は、落ち着いて食べるようになってから通常に戻します。食べない日が続く、エラが縮んでくるといった変化があれば、水質と水温を確認してみてください。
- 水が半分くらいこぼれました。足すときの注意は。
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カルキを抜いた水を、水温を合わせてから入れてください。温度差は2℃以内が目安です。一度に全部足さず、何回かに分けるほうが負担が小さくなります。
- 小さい水槽なら対策はいらないですか。
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30cm水槽でも、水を入れれば10kg以上になります。落下すれば割れますし、中のウパちゃんは無事では済みません。サイズにかかわらず、置き場所とフタだけは見ておいてください。
まとめ
今週末にできること。
- 倒れてくるものが近くにないか、倒れたときに避難経路を塞がないかを確認する
- 水位を上端から数センチ下げて、フタをする
- 避難用のフタつきバケツを、すぐ取り出せる場所に用意する
- 重くて背の高い隠れ家を、低くて底の広いものに替える
休みの日に一日かけてやること。
- カラーボックスやメタルラックをやめて、専用の水槽台にする
- 耐震マットを敷き、台を壁に寄せるか固定する(手順は引っ越しと同じ)
揺れたときの順番。
- 靴を履く → 電源(行けないなら近づかない)→ ウパちゃんの姿 → 傾き → 水漏れ → 停電
- 水が濁っても全換水しない。1日待てば収まることが多い
- 避難するなら、冬は心配いらない。夏だけは遮光と保冷剤をしてから出る
地震そのものは防げませんが、倒れない置き方にしておくことはできます。一度やってしまえば、あとは点検するだけです。


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