「ろ材は洗わないでください」
このサイトでも、他のサイトでも、そう書かれているのをよく見ると思います。でも同時に「フィルターは定期的に掃除しましょう」とも書かれている。
どっちなんだ、と思いませんか。
わたしも最初は混乱しました。洗うなと言われたので1年近くフィルターに触らずにいたら、ある日ぴたりと水が流れなくなっていました。開けてみたら、ウールマットが茶色く固まって詰まっていたんです。
先に結論を書きます。ろ材には性格の違う2種類があって、扱いが正反対です。
- ウールマットは消耗品。積極的に洗って、定期的に替える
- リングやボールのろ材はバクテリアの住処。めったに触らない
「洗うな」と言われているのは後者のことです。この記事では、その区別と、実際の頻度をまとめます。
いま水流が弱い方へ|原因は上から順に4つ
掃除の話に入る前に、症状で来た方向けに切り分けを置いておきます。上から順に確認してください。
- 吸い込み口(ストレーナー)にフンが貼りついていないか … スポイトで吸うだけで直ります
- ウールマット(カートリッジ)が詰まっていないか … いちばん多い原因です
- インペラー(羽根車)にヌメリや毛が巻き付いていないか … 1年触っていないなら、ここも 高い確率で汚れています
- 水位が下がっていないか … 外掛け式は水位が下がると汲み上げが不安定になります
1年ノーメンテだった方は、2と3の両方を疑ってください。インペラーの外し方と異音の切り分けは設備トラブルの記事に書いています。
まず、自分のフィルターの中身を見てください
掃除の話に入る前に、一度フィルターを開けて中身を確認してみてください。
入っているものは、だいたいこの2つに分かれます。
① 白いフワフワしたマット(ウールマット・スポンジ)
これは物理ろ過の担当です。フンや食べ残しといった「目に見えるゴミ」を絡め取る役目で、いわばフィルターの網戸です。
② 白い筒状や丸いもの(リングろ材・ボールろ材)
こちらは生物ろ過の担当です。表面の細かい穴にバクテリアが住みついて、アンモニアや亜硝酸といった有害物質を分解しています。水槽の水質を支えている本体がここです。
投げ込み式フィルターの場合は、スポンジと活性炭が一体になっていることが多く、この区別があいまいです。その場合は「汚れたら交換する消耗品」と考えてください。

外掛けフィルターを使っている方は、ここだけ読み方が変わります
これは重要なので先に書きます。
外掛けフィルター(テトラのATシリーズ、GEXのスリムフィルターなど)の純正構成は、ウールと活性炭が一体になったカートリッジ1枚だけです。リングろ材は入っていません。
つまり外掛けの場合、そのカートリッジが生物ろ過の本体を兼ねています。
ここを知らずに、あとで説明する「3〜4ヶ月で新品に交換」をそのままやると、ろ過を丸ごと捨てることになります。 メーカーの説明どおりに全交換して、白く濁ったりウパちゃんが調子を崩したりするのは、外掛けでいちばん多い失敗です。
外掛けの方は、次のように読み替えてください。
- まずは交換せず、飼育水での揉み洗いで延命する
- どうしても交換するなら、古いカートリッジを2〜3週間そのまま同居させる(本体に隙間があれば差し込んでおく)
- 隙間がなければ、古いカートリッジを半分に切って残す
もうひとつ、根本的な解決策があります。純正カートリッジをやめて、自分でウールマットとリングろ材を詰める方法です。外掛けフィルターでは定番の改造で、これをやると以降はこの記事の内容がそのまま当てはまるようになります。
① ウールマットは、どんどん洗ってください
こちらは遠慮なく手を入れていい部分です。
役目が「ゴミを絡め取ること」なので、詰まったら仕事をしなくなります。 汚れたまま放置すると水量が落ち、最終的には冒頭のわたしのように完全に止まります。
頻度の目安
- 月に1回、飼育水の中で揉み洗いする
- 3〜4回ほど洗うと、へたって元に戻らなくなります。 そうなったら交換(月1回なら3〜4ヶ月が目安)
日数で機械的に決めるより、「揉んでも厚みが戻らなくなったら交換」と覚えるほうが確実です。
「バクテリアが減るのでは」と心配になるかもしれませんが、リングろ材が入っているなら、ウールマットのバクテリアは気にしなくて大丈夫です。 生物ろ過の本体は別にあるので、こちらは物理ろ過に専念させます。
洗うときは必ず飼育水を使ってください。バケツに水換えで抜いた水を取っておいて、その中で揉みます。
なお、GEXのスリムフィルターやサイレントフロースリムをお使いなら、専用の交換マットが出ています。他の機種には合わないので、型番を確認してから買ってください。

② リング・ボールろ材は、めったに触りません
こちらが「洗うな」と言われている本体です。
表面に住みついたバクテリアが水質を支えているので、むやみに洗うとその働きが落ちます。
いつ洗うのか
目安はこうです。
ウールマットを洗っても水量が戻らなくなったら、そのとき初めてリングろ材を疑う。
頻度でいえば半年から1年に1回あるかないか、という程度です。毎月開けて洗うようなものではありません。
洗うときも、飼育水の中で軽くゆするだけにしてください。ゴシゴシこすったり、水道水をかけたりしないでください。
交換するとき
リングろ材は基本的に長持ちしますが、表面が崩れてボロボロになってきたら交換時期です。多孔質の穴がつぶれると、バクテリアの住む場所がなくなります。
ただし、一度に全部替えないでください。 半分だけ替えて、残り半分は古いものを使い続ける。こうすれば古いろ材から新しいろ材へバクテリアが移っていきます。
全部替えると、水槽が立ち上げ直しに近い状態になります。
実際の手順|5分で終わります
「飼育水で揉む」だけでは、初めてだと手が止まります。開ける前から戻すまでを書いておきます。
- バケツに飼育水を取る。 先にこれをやってください。水槽から2〜3Lすくっておきます
- フィルターの電源を抜く。 抜かずにカートリッジを外すと、ポンプが空気を吸います
- カートリッジ(ウールマット)を取り出す。 外掛け式は本体に汚水が溜まっているので、取り出す瞬間にこぼれます。 下にタオルを敷くか、バケツの上で抜いてください
- バケツの飼育水の中で揉む。 真っ黒な水が出ますが、それでいいんです。5〜6回揉めば十分
- 元に戻す
- 電源を入れる前に、本体に飼育水を注ぐ(呼び水)。 機種によっては、これをしないとポンプが空回りして水が上がってきません。「壊した」と勘違いしやすいのはここです
- 通電して、1〜2分見届ける。 水が循環して、水面が揺れはじめれば完了です
7番まで見届けてください。戻した直後は正常に見えても、数分後に空回りしていることがあります。
フィルターの種類別|掃除の頻度
| フィルター | 掃除の頻度 | 主に触るところ |
|---|---|---|
| 投げ込み式 | 月1回程度 | スポンジを飼育水で揉む |
| 外掛け式 | 月1回程度 | ウールマット(カートリッジ) |
| 上部式 | 月1回程度 | ウールマット。リング層は触らない |
| 外部式 | 2〜3ヶ月に1回 | ウールマットとホース内部 |
外部フィルターは密閉されているぶん掃除の間隔が空きますが、「掃除しなくていい」わけではありません。 ホースの内側にヌメリが溜まって、気づかないうちに水量が落ちます。
ウーパールーパーならではの事情
ここは他の生き物と違うところです。
ウパちゃんは体の大きさに対して、フンがかなり大きいです。 しかも量も出ます。熱帯魚の水槽と同じ感覚でいると、ウールマットが想定より早く詰まります。
目安の「月1回」は、あくまで目安です。水面の揺れが弱くなってきた、排水の音が変わったと感じたら、期間を待たずに開けてください。
あわせて、吸い込み口(ストレーナー)も確認してください。ここにフンが貼りついて水量が落ちていることがよくあります。スポイトで吸い取るだけで直ります。

やってはいけない2つのこと
① 水道水で洗う
これはもう、あちこちで書かれているとおりです。水道水の塩素でバクテリアが死にます。
飼育水を使ってください。水換えのときに抜いた水をバケツに取っておけば、そのまま使えます。
② 水換えと同じ日にやる ← これが見落とされます
こちらのほうが、実は起きやすい失敗です。
理由を正確に書きます。よく「水換えでバクテリアが減るから」と説明されますが、これは少し違います。 バクテリアの大半はろ材に定着していて、抜いた水の中にはほとんどいません。水換えそのものでバクテリアが大きく減ることはないんです。
本当の理由はこちらです。フィルターを掃除した直後は、ろ過の能力が一時的に落ちています。 その弱っているところに、水質と水温の変化まで重ねると、変化の幅が大きくなりすぎます。
その結果、水が白く濁ったり、ウパちゃんが体調を崩したりします。「きれいにしたのに調子が悪くなった」というのは、たいていこれです。
対策は簡単で、数日ずらすだけです。
- 今日フィルターを掃除したら、水換えは3〜4日空ける
- 逆に水換えをした日は、フィルターを開けない
これを守るだけで、掃除後のトラブルはかなり減ります。

冬は少し慎重に
もうひとつ、季節の話です。
水温が下がると、ろ過バクテリアの活性も落ちます。 つまり冬は、もともとろ過の力が弱まっている状態です。
そこでフィルターを大掃除すると、戻るまでに時間がかかります。冬場は掃除の範囲を小さめにして、ウールマットのすすぎ程度にとどめておくと安全です。
リングろ材まで手を入れるなら、水温が安定している春や秋にやってください。
季節ごとの管理は秋の管理の記事にもまとめています。
掃除のあとに調子を崩したら
やってしまったあとの話も書いておきます。
掃除の翌日から、水が白く濁ったり、ウパちゃんが落ち着かなくなったりすることがあります。ろ過が一時的に弱っているサインです。
このときにやることは3つです。
- 餌を止める(分解する仕事を増やさない)
- エアレーションを足す(バクテリアの回復には酸素が要ります)
ただしウパちゃんは強い水流が苦手です。エアは弱めにして、水流が体に直接当たらない位置に置いてください
- 水換えは控えめに(ここでさらに換えると悪循環です)
たいていは数日から1週間で戻ります。ウパちゃんの様子がおかしいようなら、弱っているときの対処も確認してください。
よくある質問
- フィルターを掃除したら、水が白く濁りました。大丈夫ですか?
-
ろ過が追いつかず、水中に残った有機物を餌にして細菌が急増している状態です。白く見えているのは、その細菌そのものです。多くの場合、数日から1週間で自然に落ち着きます。焦って水を大量に換えると、かえって回復が遅れます。餌を止めて、エアレーションを強めて待ってください。ただし1週間以上濁ったままだったり、ウパちゃんがぐったりしていたりする場合は、水質そのものが悪化している可能性があるので、少量ずつの水換えに切り替えてください。
- 活性炭は入れたままでいいですか?
-
活性炭は汚れや色素を吸着しますが、吸着できる量には限りがあります。1ヶ月程度で効果が切れると考えてください。入れっぱなしにしても害はありませんが、効果はなくなっています。気になるようなら、月1回のウールマットのすすぎと同じタイミングで替えると忘れません(ウールマット自体は毎月替える必要はなく、すすいで使い回します)。なお、薬を使っている期間は活性炭が薬を吸ってしまうので、取り出しておく必要があります。
- フィルターを止めている間、ウパちゃんは大丈夫ですか?
-
掃除で30分から1時間ほど止める程度なら問題ありません。ただし作業中はエアレーションを入れておくと安心です。注意したいのは、掃除が長引いてフィルター内部が乾くことです。ろ材が乾くとバクテリアが死ぬので、作業のあいだは飼育水に浸けたままにしておいてください。
まとめ
- 「ろ材を洗うな」は、リングやボールのろ材の話です。ウールマットは別物です
- ウールマット=物理ろ過。月1回すすぎ、揉んでも厚みが戻らなくなったら交換
- リング・ボールろ材=生物ろ過。半年〜1年に1回、飼育水で軽くゆするだけ
- ろ材を交換するときは半分ずつ。全部替えると立ち上げ直しになります
- 水道水で洗わない。 飼育水を使ってください
- 水換えと同じ日にやらない。 掃除直後はろ過が弱っていて、変化が重なりすぎます
- 外掛けフィルターは例外。 純正カートリッジは生物ろ過も兼ねているので、全交換しないこと
- ウパちゃんはフンが大きいので詰まりやすい。水面の揺れが弱まったら期間前でも開ける
- 冬は控えめに。 低水温ではバクテリアの回復が遅くなります
- 水流が弱いときはストレーナー → ウール → インペラー → 水位の順に確認を
フィルターを開けるのは少し面倒ですが、止まってから気づくよりずっと楽です。月に1回、水換えとは別の日に、5分だけ見てあげてください。
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