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買ってきた人工飼料を入れてみたのに、目の前に落ちても見向きもしない。結局その日も赤虫をあげてしまう。
わたしも同じでした。「ひかりウーパールーパー」を買ってきて、これで楽になると思っていたのに、うちの子は1粒も口にしませんでした。
でも今は普通に食べています。何が違ったかというと、やり方の順番と、途中で赤虫に戻さなかったことの2つだけです。
この記事では、切り替えがうまくいかない理由と、実際の手順をまとめます。あわせて「そもそも切り替えなくてもいいのでは」という話も、正直に書いておきます。
その前に|本当に切り替える必要がありますか
先にこれを書いておきます。赤虫だけで一生飼うことも、できなくはありません。
そのうえで、人工飼料に切り替えると楽になるのは事実です。
- 保存が楽(冷凍庫の場所を取らない、停電で溶ける心配もない)
- コストが下がる
- 旅行や留守のときに人に頼みやすい(乾物なので、誰でも同じ量をあげられます)
- 栄養のバランスが設計されている
逆に、赤虫のままでいい場合もあります。
- 冷凍庫に余裕があって、手間も気にならない
- ウパちゃんが高齢だったり、体調を崩しがちだったりする
- 迎えたばかりで、まだ環境に慣れていない
無理に切り替える必要はありません。 ただ、切り替えておくと「いざというとき」の選択肢が増えます。
旅行のことで調べている方のために、先に答えを書いておきます。健康な成体なら、3〜4日の留守なら餌なしで問題ありません。 つまり2泊3日程度の旅行であれば、そもそも餌の心配は要らないんです。
問題になるのはそれより長いときで、人に頼むなら人工飼料のほうが圧倒的に頼みやすくなります。 冷凍を解凍してもらう必要がなく、「これを3粒」と渡せば済むからです。
留守にする日数別の考え方は旅行中の管理の記事にまとめています。

食べない理由は、だいたいこの3つです
① 粒が大きくて、口に入らない
意外とこれが多いです。ウパちゃんの口のサイズに対して、粒が大きすぎることがあります。
体が7〜8cmくらいまでの小さい個体は、そもそも人工飼料を食べにくいと考えてください。この時期に無理をしても、たいていうまくいきません。
対策は簡単で、粒を割ってあげることです。指で軽くつぶすか、半分に割るだけで、食べられるようになることがあります。
大きくなってきたら、大粒に切り替えていきます。

② 動かないので、餌だと分からない
ウパちゃんは視力がよくありません。動くものに反応して食いつく性質があります。
赤虫はゆらゆら動くので餌だと分かりますが、人工飼料は底に沈んだまま動きません。そこにあるのに気づいていない、ということが起きます。
だからピンセットが要ります。
家にある毛抜きやキッチン用のピンセットは使わないでください。 先が鋭いので、口の中を傷つけることがあります。先にゴムがついた給餌用のものを使ってください。
③ 「もっといいもの」を知っている ← これが最大の理由
ここがいちばん重要です。
赤虫を食べ慣れた個体にとって、人工飼料は明らかに魅力が落ちます。そして「待っていれば赤虫が出てくる」と学習していると、人工飼料を食べる理由がありません。
つまり、食べないのは「食べられない」のではなく「食べなくていいと知っている」からです。
ここを理解しておかないと、次に説明する手順の意味が分からなくなります。
切り替えの手順
ステップ1|時期と個体の状態を確認する
まず、いま切り替えに向いているかどうかを確認してください。次に当てはまるなら、時期をずらしたほうがうまくいきます。
- 迎えてから2週間経っていない(環境に慣れるのが先です)
- 体長が7〜8cmに満たない
- 体調を崩している、痩せている
- 水温が適温(15〜20℃)から外れている
最後のひとつは見落とされがちなので、補足します。食欲が落ちるのは、低すぎるときだけではありません。
- 15℃を下回ると、代謝が落ちて食欲そのものが減ります(秋から冬)
- 24℃を超えても、やはり食欲は落ちます(初夏から夏)
つまり、食べないのが切り替えの失敗ではなく、水温のせいというケースがあります。 まず水温計を見てください。
始めるなら、水温が15〜20℃で安定している時期です。春と秋の安定した時期がねらい目ですが、「春だから」「秋だから」ではなく、実際の水温で判断してください。 5月でも室温が上がれば25℃を超えます。
季節ごとの食欲の変化は秋の管理の記事に書きました。
ステップ2|少しだけ空腹にする
食べさせたいなら、お腹を空かせるのがいちばん効きます。餌を抜くのは2〜3日です。
ここで日数の考え方をはっきりさせておきます。空腹にするのは最初の2〜3日だけで、そのあと毎日ピンセットで試すのは「餌をあげる機会」であって、絶食を延長しているわけではありません。食べた時点で終わりです。
そのうえで、上限を決めておいてください。
通算7日食べていなければ、いったん赤虫を与えて仕切り直す。
7日は健康な成体が持ちこたえられるとされる目安であって、目指す数字ではありません。ここまで粘って食べないなら、いまは時期ではないということです。 体力を戻してから、また改めて試してください。
幼体(体長10cm未満)の場合は、餌を抜くのは2日までにしてください。 体力の蓄えが少なく、絶食に耐える力が成体とは違います。
もうひとつ、落とし穴があります。
迎えたばかりの個体に、いきなり絶食をさせないでください。 販売されている個体は、成長を抑えるために最低限の餌しか与えられていないことがあります。そこからさらに絶食させると、体力が持ちません。
2週間ほど普通に食べさせて、体つきがしっかりしてからにしてください。
ステップ3|人工飼料をふやかしてから与える
これは見落とされやすいのですが、大事なところです。
乾いたままの人工飼料は、お腹の中で水を吸って膨らみます。 そのぶん、見た目の量より多く食べたことになります。
飼育水を少し入れた容器に、30秒から1分ひたしてから与えてください。やわらかくなって食べやすくもなります。
ただしふやかしすぎると、ピンセットでつまんだ時点で崩れます。 表面が少しやわらかくなる程度で止めてください。崩れるようなら、次はひたす時間を短くします。
ステップ4|ピンセットで、目の前で揺らす
底に落とすのではなく、ピンセットでつまんで、顔の少し前でゆっくり揺らしてください。
動くものに反応するので、これだけで食いつくことがあります。
コツは2つです。
- 近づけすぎない。 5cmくらい離れたところで揺らして、向こうから来させる
- 粘らない。 5分やって反応がなければ、その日はやめる

ステップ5|食べなければ、翌日また同じことをする
初日で食べることは、あまりありません。3日から1週間はかかると思っておいてください。
わたしの場合は4日目でした。その前の3日間は、ピンセットの先を見にも来ませんでした。
焦らないことが、いちばんのコツです。
そしてもうひとつ、毎回やってほしいことがあります。
食べ残した飼料は、その日のうちにスポイトで回収してください。 ふやかした粒は底で崩れて水を汚します。水が悪くなると食欲がさらに落ちて、切り替えどころではなくなります。
底砂を敷いている場合は、底に落としたままにしないことも大事です。砂利ごと飲み込んでしまうことがあります(誤飲の記事)。ピンセットで与えるのは、この意味でも安全です。

食べてくれたら
おめでとうございます。ここからは量と頻度の話になります。
いきなり満腹まで与えず、最初は数粒から始めてください。人工飼料はお腹の中で膨らむので、見た目より多くなります。
成長段階ごとの適量は餌の頻度と量の記事にまとめています。
やってはいけない3つのこと
① 途中で赤虫に戻す
これが切り替え失敗の最大の原因です。
「かわいそうだから今日だけ」と赤虫をあげると、ウパちゃんは「待っていれば出てくる」と再確認します。そこまでの数日が、まるごと無駄になります。
しかも厄介なことに、人工飼料を食べるようになったあとでも、ときどき赤虫をあげていると、人工飼料を吐き出すようになることがあります。 おいしいものを知っていると、そうでないものを受けつけなくなるんです。
切り替えると決めたら、しばらくは赤虫を完全に断ってください。 中途半端がいちばんよくありません。
② 長すぎる絶食で追い込む
ここで、さきほどの①と矛盾して見えるところを整理しておきます。「戻すな」と「戻せ」が並ぶので、どちらの場面なのか迷うと思います。
違いはこうです。
- ①で戻してはいけないのは、気持ちの問題で戻す場合です。「かわいそうだから」「今日だけ」。これは切り替えを壊します
- ②で戻すべきなのは、体にサインが出た場合です。こちらは迷わず戻してください
体のサインは、見た目で判断できます。
- 尾の付け根が細くなってきた(いちばん分かりやすいところです)
- 頭の幅より、胴のほうが細く見える
- 数日ほとんど動かない
- エラが縮んできた、色が薄くなってきた
ひとつでも当てはまれば、その日に赤虫へ戻してください。 体力が戻ってから、改めて仕切り直せばいいだけです。
気分で戻さない。体のサインが出たら迷わず戻す。 この2つをセットで覚えてください。
③ いきなり全部を入れ替える
どうしても食べない場合は、混ぜる方法があります。
赤虫に人工飼料を少量まぜて与え、少しずつ人工飼料の比率を上げていきます。時間はかかりますが、拒否感は少なくなります。
ただし、この方法は「①途中で赤虫に戻す」と紙一重です。比率を戻さないよう、あげた内容を記録しておくと確実です。

それでも食べないとき
1〜2週間やってみて、まったく口にしない場合です。
まず、銘柄を変えてみてください。 人工飼料にも匂いや食感の違いがあり、メーカーを変えたとたんに食べることがあります。
もうひとつの方法は、赤虫の汁を人工飼料にしみこませることです。いま使っている冷凍赤虫を解凍したときに出る汁に、人工飼料をひたします。匂いがついて食いつくことがあります。
新しく買う必要はありません。いま冷凍庫にあるものを使ってください。
それでもだめなら、いったんやめて数ヶ月おいてください。 体が大きくなると、あっさり食べるようになることがあります。冒頭に書いたとおり、7〜8cmを超えてからのほうが成功率は上がります。
切り替えられなくても、それで飼えなくなるわけではありません。 赤虫のままでも問題なく育ちます。
よくある質問
- 今まで人工飼料を食べていたのに、急に食べなくなりました。
-
まず水温を確認してください。水温が下がると食欲そのものが落ちるので、秋から冬にかけては自然な変化のことがあります。次に、最近ごほうびで赤虫や生き餌を与えていないか思い出してみてください。おいしいものを覚えると、人工飼料を受けつけなくなることがあります。どちらにも当てはまらず、体つきや動きにも変化があるなら、体調のほうを疑ってください。餌を食べない理由の記事に詳しく書いています。
- 人工飼料と赤虫、栄養面ではどちらがいいのですか?
-
人工飼料は栄養バランスが設計されているので、これだけで育てられるように作られています。赤虫は嗜好性が高く食いつきはいいのですが、栄養は人工飼料ほど整っていません。長く飼うことを考えるなら人工飼料が基本で、赤虫は補助や食欲が落ちたときの切り札、という位置づけが扱いやすいと思います。
- 切り替え中、餌を何日抜いても大丈夫ですか?
-
健康な成体なら2〜3日は問題ありません。1週間ほどは持ちこたえるとされていますが、それを狙うのはおすすめしません。幼体は絶食に弱いので、2日を超えないようにしてください。痩せてきた、動かない、エラが縮んだといった変化が出たら、すぐに赤虫に戻して体力の回復を優先してください。
まとめ
- 無理に切り替える必要はありません。 ただ留守や保存を考えると、できると楽になります
- 食べない理由は①粒が大きい ②動かないので気づかない ③赤虫を知っているの3つ
- ③がいちばん大きい理由です。食べられないのではなく、食べなくていいと知っています
- 水温15〜20℃で安定している時期に始める。15℃未満でも24℃超でも食欲は落ちます
- 手順は時期の確認 → 2〜3日空腹に → ふやかす → ピンセットで揺らす → 数日くり返す
- 空腹にするのは最初の2〜3日だけ。 毎日試すのは給餌の機会であって絶食の延長ではありません
- 通算7日食べなければ、いったん赤虫に戻して仕切り直す(幼体は2日まで)
- 食べ残しはその日のうちにスポイトで回収。水が悪くなると食欲はさらに落ちます
- 迎えたばかりの個体に絶食は危険。2週間は普通に食べさせてから
- 途中で赤虫に戻すのが最大の失敗。中途半端がいちばんよくありません
- ただし体のサインが出たら迷わず戻す。尾の付け根が細い・胴が頭より細い・動かない・エラが縮む
- 気分で戻さない。体のサインが出たら戻す。 この2つはまったく別の話です
うちの子も4日かかりました。3日目までは本当に食べる気配がなくて、「この子は無理かもしれない」と思っていたくらいです。
焦らず、数日単位で構えてみてください。
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