台風が近づいてきたとき、ふと「停電したらウパちゃんはどうなるんだろう」と思ったことはありませんか。
わたしは去年の台風で半日ほど停電を経験して、そのとき初めて真剣に考えました。懐中電灯は用意していたのに、水槽のことは何も準備していなかったんです。幸い秋だったので事なきを得ましたが、あれが8月だったらと思うとぞっとします。
熱帯魚の停電対策はよく記事になっています。でも、ウパちゃんの場合は対策の中身がまるで逆になります。
熱帯魚はヒーターが止まって水温が下がることが問題です。ウパちゃんは違います。エアコンが止まって水温が上がることが最大の脅威です。保温ではなく、保冷が課題なんです。
この記事では、停電したときに何が起きるのか、その場で何をすればいいのか、そして普段から何を備えておけばいいのかをまとめます。
はじめに|避難が必要なときは、ご自身の安全が最優先です
先に書いておきます。避難指示が出ている状況で、水槽のために家に留まらないでください。
ウパちゃんのためにできることは、そのほとんどが「事前の備え」です。台風が来る前、地震が起きる前にやっておけば、いざというときに迷わずに済みます。この記事の後半にまとめました。
もうひとつ、避難する場合に必ずやってほしいことがあります。
水槽まわりの電源プラグを抜いてから出てください。 停電から復旧するときの通電火災は、地震のあとの出火原因として知られています。濡れた場所にある電気製品はとくに危険です。ブレーカーを落とせるならそれがいちばん確実です。
停電で止まるもの|3つ同時に来ます
まず何が起きるかを整理します。停電すると、水槽まわりの3つが同時に止まります。
① エアコン(=水温が上がる)
夏はこれがいちばん怖いです。室温が上がれば、水温もそれを追いかけます。ウパちゃんの適温は15〜20℃です。
- 23℃を超えたら … 対処を始めてください。すでに負担がかかっています
- 25℃を超えたら … 病気のリスクが上がります
- 28℃を超えたら … 命に関わります
「27℃ならまだ大丈夫」ではありません。動きはじめるのは23℃からだと考えてください。
真夏の日中に冷房が止まった部屋は、数時間で30℃を超えます。水温もそこへ向かって上がっていきます。
② エアレーション(=酸素が減る)
エアポンプが止まると、水面から酸素が溶け込まなくなります。
しかもこれが①と重なるのが厄介です。水温が上がると水に溶けられる酸素の量そのものが減り、同時にウパちゃんの代謝が上がって必要量は増えます。供給が止まり、容量が減り、需要が増える。三重に効いてきます。
③ フィルター(=ろ過が止まる)
すぐには影響が出ませんが、長引くと問題になります。フィルターの中のバクテリアは酸素を必要としているので、水が流れなくなると弱っていきます。

夏の停電では、①と②に集中してください。 ③は後述しますが、復旧のときに気をつけるポイントです。
何時間で危険になるのか
正直に書くと、「何時間まで大丈夫」という決まった数字はありません。 季節、部屋の広さ、水量、日当たりで大きく変わるからです。
そのうえで、目安として考えている幅を書きます。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 真夏の日中・冷房停止 | 2〜3時間で25℃を超えることがあります |
| 夏の夜間 | 半日程度は持ちこたえやすい |
| 春・秋 | 1日程度なら大きな問題は出にくい |
| 冬 | 水温の面では問題なし |
真夏がとにかく別格です。水量が少ない水槽ほど早く上がります。 30cm水槽より60cm水槽のほうが粘れるのは、単純に水の量が多いからです。
停電したら、まず水温計を確認してください。 何度なのかが分かれば、慌てるべきか落ち着いていいかが判断できます。
最高水温を記録してくれるタイプなら、外出中に停電していた場合でも「何度まで上がったか」が分かります。復旧後の判断がしやすくなります。
停電したらすぐやること
夏を想定した順番です。上から順にどうぞ。
① 水槽を日光から遮る
カーテンを閉めて、水槽に日が当たらないようにします。直射日光が当たっているかどうかで、水温の上がり方がまるで違います。
窓から離せるなら移したいところですが、水を入れたまま水槽を動かすのは危険です。無理はしないでください。
② 冷凍庫のものを使って冷やす
ここは物によって扱いが変わるので、分けて書きます。
保冷剤は、水の中に入れないでください。 穴が開くと中身が溶け出します。タオルで包んで、水槽のガラス面の外側に当てるか、上にのせてください。
凍らせたペットボトルは、水に浮かべて構いません。 未開封で密閉されているので中身が出る心配はなく、外側から当てるより効きます。
ただし一度に何本も入れないでください。 急に冷えるとそれ自体が負担になります。1本ずつ入れて、水温計を見ながら足していくのが安全です。
停電中は冷凍庫も止まっているので、中身が溶けきる前に使うことを意識してください。ドアの開閉は最小限に。
③ 手であおいで水面を揺らす
エアレーションが止まっているので、酸素を入れる必要があります。手やコップで水面をゆっくりかき混ぜるだけでも、空気が溶け込みます。
数時間おきに、1回1分程度で構いません。強くかき混ぜてウパちゃんを驚かせないよう、静かにやってください。
乾電池式のエアポンプを持っているなら、それを使うのがいちばんです。これは後の「備えておくもの」で触れます。
④ 餌を止める
停電中は餌を与えないでください。 消化に酸素を使いますし、食べ残しやフンで水が汚れます。ろ過も止まっているので、汚れがそのまま蓄積します。
数日食べなくても健康な成体なら持ちこたえます。停電が終わって水温が戻ってから再開してください。
⑤ 静かにして、のぞきすぎない
不安で何度も確認したくなりますが、暗くして静かにしておくほうがウパちゃんの負担は減ります。確認は水温計を見るだけで十分です。

事前に備えておくもの
停電してから買いに行くことはできません。先に用意しておくものを挙げます。
乾電池式のエアポンプ
これがいちばん役に立ちます。釣り具コーナーで「エアーポンプ 電池式」として売られているもので、アクアリウム用にも同じものがあります。1,000〜2,000円程度です。
製品によりますが、単1電池2本で20時間以上動くものが多く、一晩の停電なら十分にしのげます。買うときは電池のサイズを確認してください。
電池を一緒に保管しておくことを忘れないでください。ポンプだけあっても動きません。わたしは電池を入れっぱなしにしていて、いざ使おうとしたら液漏れしていたことがあります。年に1度、電池を抜いて確認するだけで防げます。
酸素が出る石(酸素供給剤)
水に入れると化学反応で酸素を出すタイプの製品です。電源が要らないので、乾電池式ポンプがないときの保険になります。
数日で効果が切れる消耗品ですが、ひとつ引き出しに入れておくと安心感が違います。
ひとつ注意があります。製品によっては水のpHをアルカリ側に動かすことがあります。 ウパちゃんは水質の急変に弱いので、あくまで非常用と考えて、電気が戻ったら水を1/3ほど換えてください。
USB電源で動く冷却ファン
USBで動くタイプなら、モバイルバッテリーから給電できる場合があります。手持ちのバッテリーで動かせるか、停電していないうちに一度試しておいてください。 ぶっつけ本番で動かなかった、がいちばん困ります。
もう少し踏み込むなら、ポータブル電源という選択肢もあります。数万円しますが、これがあればエアポンプもファンも普段どおり動かせます。防災用に持っている方は、水槽用の延長コードを一緒に用意しておくといいと思います。
保冷剤・凍らせたペットボトル
冷凍庫に常備しておきます。夏場は多めに。停電すると冷凍庫も止まるので、数が要ります。
発泡スチロールの箱と新聞紙
熱帯魚では保温に使いますが、ウパちゃんの場合は逆で、外の熱を入れないための断熱に使います。水槽を囲うだけで水温の上がり方が緩やかになります。
通販の緩衝材やスーパーでもらえるもので十分です。
汲み置きの水
断水に備えて、カルキを抜いた水をポリタンクに用意しておくと安心です。停電と断水は同時に来ることがあります。
断水したときはどうする
水が出ないと、水換えができません。
このときの考え方はひとつです。水を換えられないなら、汚さないようにする。
- 餌を完全に止める(フンと食べ残しが最大の汚染源です)
- 目に見えるゴミはスポイトで取り除く
- 汲み置きの水があれば、少量ずつ足し水に使う
ウパちゃんは数日食べなくても大丈夫です。「餌をあげないとかわいそう」より「水を汚さない」を優先してください。
飲料用のミネラルウォーターを使いたくなるかもしれませんが、硬度が高いものは避けたほうが無難です。使うなら軟水を選んでください。
復旧したときが、実は要注意です
ここが見落とされやすいところです。
長時間止まっていたフィルターを、そのまま回さないでください。
フィルターの中は水が流れることで酸素が届いています。止まっている間に酸素がなくなると、中のバクテリアが弱って、有害な物質が溜まります。そのまま電源を入れると、溜まっていたものが一気に水槽へ流れ込みます。
数時間程度なら気にしなくて構いませんが、半日以上止まっていた場合は次のようにしてください。
1. 電源を入れる前に、フィルターの中の水を捨てる
2. ろ材を飼育水で軽くすすぐ(水道水は使わない。バクテリアが死にます)
3. それから電源を入れる
4. 念のため水を1/3換える
エアコンを入れ直すときも、下げ方に順番があります。一気に適温まで戻すのはショックになりますが、高いまま置くのも危険なので、2段階で考えてください。
- 28℃を超えている場合 … まず28℃を切るところまでは、多少速くても構いません。ここは留まっているほうが危険です
- 28℃を下回ってから … 1時間に1℃程度のゆっくりしたペースで20℃前後まで戻します
30℃から1時間に1℃で下げていたら、危険な温度に5時間以上置くことになります。危険域を抜けるまでは急ぎ、抜けたら緩めると覚えてください。

復旧後の数日は、エラの色と食欲を見てあげてください。高水温を経験したあとは体力が落ちていて、水カビ病などが出やすくなります。

冬の停電はどうか
冬は、水温に関してはあまり心配いりません。
ウパちゃんは低水温に強く、10℃を下回っても越冬できます。 暖房が止まって室温が下がっても、それ自体が命に関わることは多くありません。
むしろ気をつけたいのは、復旧して暖房を入れたときの急な上昇です。冷えた部屋を一気に暖めると水温も動きます。ゆっくり戻してください。
冬の停電で本当に注意すべきは酸素のほうです。水温が低ければ酸素は溶けやすいので夏ほど切迫しませんが、長引くなら水面を揺らしてあげてください。
よくある質問
- 停電中、ウパちゃんを別の容器に移したほうがいいですか?
-
基本的には移さないほうがいいです。移動そのものがストレスになりますし、少ない水量の容器に移すと水温がかえって早く上がります。水槽の水量は、それ自体が水温の変化を緩やかにしてくれる緩衝材です。例外は、水槽が倒れる危険があるときや、部屋の温度が明らかに異常なときです。その場合は飼育水ごと、断熱できる箱に入れて移してください。
- 停電が何日も続きそうです。何を優先すればいいですか?
-
順番は、水温を上げないこと、酸素を入れること、水を汚さないことの3つです。餌は完全に止めて構いません。数日の絶食で健康な成体が弱ることはありません。冷凍庫の保冷剤が尽きたら、日陰に移す・断熱材で囲う・水面を揺らすといった電気を使わない方法に切り替えてください。避難が必要な状況であれば、まずご自身の安全を優先してください。
- 停電後、ウパちゃんの様子がおかしいのですが大丈夫でしょうか?
-
高水温を経験したあとは、エラが縮む、食欲が落ちる、動きが鈍くなるといった変化が出ることがあります。まず水温を適温に戻し、水を1/3換えて、暗く静かにしてください。それでも2〜3日で戻らない場合は、弱っているときの応急処置を確認して、必要なら受診を検討してください。
まとめ
- ウパちゃんの停電対策は、熱帯魚と逆で「保温」ではなく「保冷」が課題です
- 止まるのはエアコン・エアレーション・フィルターの3つ。夏は前の2つが命に関わります
- 対処を始めるのは23℃から。 真夏の日中なら2〜3時間で超えることがあります
- その場でやることは、日光を遮る → 冷やす → 水面を揺らす → 餌を止める(保冷剤は外側、凍らせたペットボトルは浮かべてOK)
- 備えておくのは乾電池式エアポンプ(+電池)・酸素が出る石・保冷剤・発泡スチロール・汲み置きの水
- 断水したら「換えられないなら汚さない」。餌を止めるのがいちばん効きます
- 半日以上止まったフィルターは、そのまま回さない。 ろ材をすすいでから電源を入れる
- 復旧時の降温は2段階。28℃を切るまでは急ぎ、そこからは1時間に1℃
- 冬の停電は水温より酸素。復旧時の急な温度変化にだけ注意してください
- 避難が必要なときは自分の安全が最優先。 出る前に電源プラグを抜いてください(通電火災の防止)
台風が来る前の30分で、電池とポンプを確認しておくだけで結果が変わります。次の台風シーズンの前に、一度だけ準備しておいてください。
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